就活生がインターンシップに参加すべき理由

最近では本格的な就職活動前に、業界研究や自分の適性を知るため企業のインターンシップに参加することが、就活生のセオリーになりつつあります。今回は、インターンシップにおける実情や種類、そのメリットについて説明していきたいと思います。

インターンシップは学生側にメリットがあるのはもちろんのこと、企業側にとっても、選考開始前の早い段階で、優秀な学生と出会える可能性がある、というメリットがあります。それ故、企業側でインターンシップを積極的に開催する動きも加速しています。18卒から19卒にかけては、約2割、インターンシップ開催企業が増えたという報告もあります。
実はこの「インターンシップ」、企業によってさまざまな種類や開催方法があります。たとえば、自社の概要を知ってもらうための「1day形式」や、アルバイト契約などを締結し、就業体験を通して自社の仕事を理解してもらう「就業体験型」のもの、また、社員が講師となりワークショップ形式で製品づくりやプロジェクトマネンジメントを学んでもらう「ワークショップ形式」など、そのあり方はさまざまです。

現在主流の3種類のインターンシップについて解説

(1)1dayインターンシップとは

1dayインターンシップとは、その名の通り1日または半日程度で開催されるインターンシップのことです。1日で開催できる内容は限られていますが「講義、説明会形式」「ワークショップ形式」「職場見学、職場体験形式」などがあげられます。

「講義、説明会形式」
業界説明や開催元企業の会社概要、戦略・ビジョン、仕事内容などについての説明が多いのが現状です。一方、これから始まる就職活動の対策や、模擬面接など、学生にとって就活全般で役立つようなコンテンツを実施してくれる企業も散見されます。

「ワークショップ形式」
インターンシップに参加した学生同士でグループを組み、課題解決の活動を行うプロジェクト形式や、その業界独自の「テーマや課題」に対してディスカッションを行うワークショップ形式も、1dayインターンシップでは一般的になりつつあります。

「職場見学、職場体験形式」
職場見学や職場体験を行う企業も多くなってきました。自社工場を国内に保有しているメーカーなどは、実際に工業見学や工場での業務職場体験ができることもあります。どんな製品をどんな規模で作り上げているのか、実際のプロセスを見ながら体感できるのはこの形式の大きなメリットです。

(2)短期間ワークショップ型インターンシップとは

就活生の皆さんが「インターンシップ」と聞いて想像するのは、こちらの形式が多いのではないでしょうか。サマー・インターンシップ、ウィンター・インターンシップなどと銘打たれ、夏休みや冬休みの期間中に開催されることも特徴のひとつです。期間は3日間~1カ月程度で、企業によっては昼食代や交通費が支給されることもあります。

内容は業界や職種によって異なります。ただ、実際にその業種・職種を簡易的に体感できるものが多いようです。例えばIT業界の場合だと「実際にプログラミングを書いてWEBページ作成してみよう」という形式や、コンサルティング業界などでは「お客様の課題をどう解決するかディスカッションして成果物を提出しよう」などの課題がでるものなどです。また、「参加学生同士で協力して自社の新規ビジネスを生み出す」という内容も業界問わず増えています。

また1dayインターンシップと比べ長い時間をかけて参加するので、より企業理解が深まりやすい形式と言えるでしょう。

(3)就労体験型インターンシップとは

就労体験型のインターシップは、その企業の一員となり実際に実務を行うインターンシップのことです。このインターンシップは実際に仕事をするため、報酬または給与が発生する場合がほとんどです。

仕事内容は、業界や企業によって異なります。職場の雰囲気を体感することを主眼としたものでは、電話番やコピー取り、メールボーイ(ガール)などの雑務作業を行ったり、実際の企画・開発の補佐やお客様とのMTGに参加し議事録を取ったりするなど、社員と同じような位置づけで仕事を任されることもあります。面白い例では、社長のかばん持ちなどのインターンシップもあります。また、雑務は行わずに実際の事業に紐づくテーマを設定し、社内の協力を得ながら、そのテーマについての課題特定と解決策の提案を行わせる形式のものもあります。意図としては、より事業運営に近しいテーマで仕事を体験し「職場の雰囲気の体感」に加えて「事業理解」を深いレベルでしてもらおうという趣旨で企画されたもののようです。

就労体験型のインターンシップは長期型、短期型があり、短期型は大学3.4年生、長期型の場合は就活最前線の大学1.2年生などで募集している企業が多いので興味のある方は、就職媒体などからチェックしてみましょう。興味がある企業であれば、人事部門に直接電話で問い合わせてみるのもいいかもしれません。

インターンシップで得られること

1dayインターンシップで得られること

1dayインターンシップのメリットは、なんといっても数多くの企業を訪問し、企業文化や業界研究ができることではないでしょうか。インターンシップは通常の会社説明会とは異なり、より人事担当者や社員と近い距離で会社を知ることができます。インターネット上で得た情報よりも、実際自分の目で見た生の情報を元に、自分のやりたい仕事や業界の志望動機を固めることもできるはずです。また、他大学の学生と知り合うことで同じような業界の情報交換や他の企業の情報を知るきっかけにもなるかもしれません。

自宅や学校の今日教室で、就職媒体の企業情報をスマホの画面上から検索するよりも、多くの企業のインターンシップに参加することで仕事選びのプロセスがよりクリアになってくるでしょう。

短期間ワークショップ型インターンシップで得られること

こちらは、企業や業界の課題解決や実際の製品を作ることがメインとなるインターンシップですから「実際にどのような業界であるのか?」「何が強みで何が弱みなのか?」などを知ることができることが特徴です。また、参加した結果で自分の肌にあう業界であったのか否かを判断できることも、メリットの一つでしょう。

文系出身なため「出版業界」「コンサル業界」「物販」などに興味をもっていたけれど、実際にIT業界のワークショップ型インターンシップに参加してみたところ、自分には開発の仕事が面白いと感じた!など新しい発見ができることも、このインターンシップの魅力のひとつです。また、実際のワークショップの講師が若手社員だった場合などは、近い将来自分がその企業でどんな働き方をしているのかイメージできることもあります。

就労体験型インターンシップで得られること

就労型インターンシップで得られるメリットは「実際の職場の雰囲気を肌で感じられる」ことに加え、「書籍やネットに落ちている情報だけでは得られない深いレベルでの事業理解ができる」可能性もある、ということではないでしょうか。外側からは見えにくい企業の本質を知ることは大変貴重な機会です。

また、長期のインターンシップの場合で比較的社員と近い仕事をさせてくれる場合、この会社が本当に自分に合っているのかどうかを見定めるチャンスでもあります。
どんな人々がいるのか、楽しそうに面白そうに仕事をしている人が多いのか、会議は漫然としたものでなく効率的な進め方になっているのか。若手と年配社員のバランスや男女比、私服OKなのかスーツオンリーなのか、自分の固定デスクがあるのかfreeWIFIが繋がっており、オフィスの自由な場所で業務ができるのか、静かな雰囲気で黙々と仕事をこなすのか、明るくいつも活気にあふれたオフィスなのか…など業務内容だけではなく会社の雰囲気も知ることができるでしょう。

実はこの「実際の会社の雰囲気を知る」ことは、就活には大変重要なポイントで「こんなはずじゃなかった」という入社後のミスマッチを高い確率で防止することができます。

インターンシップに行く際の留意点

いくら売り手市場といっても「学生様」という立場ではないことは自覚してほしいところです。最低限の準備、マナー、態度、受け入れる企業への感謝の気持ちなどには充分注意してください。スーツ着用と記載されているにもかかわらず、ジーパンスニーカーで参加するなどは絶対にNGですし筆記用具や必要な書類を忘れるなんてこともあってはなりません。

また、いくら興味が湧かなくてもあくびをしたり、私語をはじめたりする、などは言語道断です。受け入れる企業側も、準備期間に大変な労力を使い学生を受け入れるわけですから、最低限のルールやマナーには注意してインターンシップに参加しましょう。

まとめ

インターンシップに参加することで、就活解禁前の早い段階で企業を知るチャンスがあります。そして、それまで「ぼんやり」としていた就職活動や業界のイメージがよりクリアになり、自分が将来どのような業界でどのように働きたいのかがはっきりと見えてくるようになります。「何をしたらいいかわからない」「やりたいことが見つからない」「自分に何があっているのかわからない」という就活迷子の方は、積極的にインターンシップに参加してみるとよいでしょう。

きっと自分がピンとくる業界や仕事に出会えるはずですよ。