インターンシップは選考に有利になるか?

採用する企業側、選考を受ける学生側どちらも「インターンシップを制する者は、就活を制す」といっても過言ではないほど、日本でもインターンシップが活発化しつつあります。昨今ではなんと新卒採用を予定している企業の約7割が、インターンシップを実施しているという実情もあります。この記事を読んでいる皆さんも、何社かインターンシップに参加した方もいるのではないでしょうか。そこで今日はインターンシップが選考に有利に働くのかどうかを考えていきたいと思います。

インターンシップの傾向について

インターンシップは年々増加傾向にあり、新卒採用を実施している企業のうち、2017年にインターンシップを実施した企業は68.1%と前年より8.7ポイント増加し、2018年においては73.7%と2017年に比べ5.6ポイント増加しています。(株式会社リクルートキャリア就職みらい研究所調べ:https://www.recruitcareer.co.jp/news/20180215_02.pdf)

また2019卒のマイナビモニター学生5000名にアンケート調査した結果、インターンシップに参加した学生は72.2%となっており、約7割の学生が何らかのインターンシップに参加していることもわかりました。ちなみに、2018卒の参加率は59.7%となっており、その数字からも年々学生側のインターンシップへの関心も高まっていることがわかります。また、インターンシップに参加する理由には「企業への理解」が第一位となっており、次いで「自分が何をやりたいのかを見極めるため」が二位、三位は「志望業界や志望企業で働くことを経験するため」と企業研究や自分の適性判断など、本格的な就活前に何かしら経験を積んでおきたいという理由が上位を占めているようです。
(マイナビ2019調べ:https://job.mynavi.jp/conts/2019/is_autumn/is.html)

この調査結果を見る限り、企業側・学生側のインターンシップへの関心は大変高く様々な業種でインターンシップが開催され学生が参加していることが明らかになりました。

インターンシップを開催する企業側の意図

学生が入社前に「企業を理解したい」「自分の適性を見極めたい」とり理由でインターンシップに参加する意図は理解できます。では、企業側がなぜここまで「インターンシップ」を盛んに開催するようになったのでしょうか。

リクルートキャリアの調査結果によると「仕事を通じて、学生に自社を含め、業界・仕事の理解を促進させる」が89.0%。「学生に就業体験の機会を提供することで、社会貢献する」が83.4%となっております。一見すると業界理解の促進やCSRが目的と回答している企業が上位を占めており学生との意識に差はないように見ます。しかし実際データをよく見ると「採用を意識し学生のスキルを見極める」39.4%、「採用に直結したものとして実施」10.0%と「採用」を意識している企業が全体の49.4%を占めています。この調査は複数回答可能となっているためその真意は測りかねますが「CSRも目的だが実際自社に合う学生をその場で見極めている」といった企業も多くあることが伺えます。(株式会社リクルートキャリア就職みらい研究所調べ:https://www.recruitcareer.co.jp/news/20180215_02.pdf)

インターンシップは企業側にとって大変な労力

実は企業側がインターンシップを開催するとなると、大変な労力が必要となります。人員確保・会議室の確保・時間の調整・カリキュラムの策定・社内周知など実に様々な準備をして、インターンシップを開催し学生を迎え入れます。したがって、よほど余力のある企業でない限り、社会貢献のみだけの目的でインターンシップを開催する企業は少ないと考えてもよいかもしれません。大変な労力を要して開催するインターンシップは、企業によっては少なからず選考を意識するものであり、自社に合う学生を見極める場としている場合が多くあることは頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

選考が絡むのか否かインターンシップの種類で見分けよう

例えば、工場見学や説明会のみの1dayや短期型のインターンシップの場合は「広く自社を知ってもらう」などの位置づけのため、選考にはさほど関係ないかもしれません(それでも、きちんとした礼儀や挨拶ができるなどの学生は人事担当や社員にとって好印象が残るものです)。しかし課題やプロジェクトを与えられたり、基幹的な業務の一部を体験できたりする中・長期のインターンシップの場合は「その学生の能力を事前に見極めている」場合が多いと考えられます。ですから、体験型やプロジェクト型のインターンシップの場合、高いパフォーマンスを出した学生は選考が有利に働く場合があると言えるでしょう。

どんな場合でも気を抜くことなかれ

採用に直結する可能性が低い短期型のインターンシップであっても、担当する社員や人事担当者は「あなた」を見ています。大勢の学生が参加していても「お、あの子よさそうだな」という「良い印象」は後々まで残っていることが多いです。また、横柄な態度や、あくびなどの「悪い印象」も確実に印象に残ります。もし短期型のインターンシップに参加した企業の選考を受ける場合「あの時の感じの良い学生さんだね?」などと、声をかけられることもあるかもしれません。この場合悪い印象の学生より、選考が有利に働く可能性があると思いませんか?

ですから、どんなインターンシップに参加するにせよ、気を抜かず礼節をわきまえ元気に真面目に取り組むことが「前向きなよい就活につながる」と考えてよいでしょう。

インターンシップをどのようにとらえればいいか

インターンシップは「選考に直結するもの・選考を意識して行ってるもの」と「そうでないもの」があることはもうお分かりいただけたかと思います。本当にCSRを目的として開催している企業もあるでしょうし、業界理解のためだけに開催している企業もあるでしょう。逆に「選考には関係ない」という位置づけで開催されているインターンシップも、自社への適性を虎視眈々と見極めている場合があるかもしれません。

では企業側の意図がわかったところで、みなさんはどのような気持ちでインターンシップに参加すればよいか考えてみましょう。

インターンに参加する原点は「自分に合う企業・業種を見つけること」ですよね。どのような業界や仕事が自分に合っているのか、逆に絶対にできない仕事はどんなことなのかを見極めるために、インターンシップに参加するはずです。ですから、企業側の意図は片隅に置いておき、皆さんは自分の軸を見定めるために様々な業界のインターンシップを体験すればよい、だたそれだけのことです。ですから「選考に有利になるか?ならないか?」ということは必要以上に意識することはありません。

ただし、人の印象は後々まで深く心や頭に残るものなので、丁寧な対応や礼儀をわきまえて行動することを心掛けてくださいね。

まとめ

参加するインターンシップによっては、選考に有利になるものもあります。しかし「選考に有利になるのか?ならないのか?」ばかり考えてしまうと、インターンシップに参加すること自体が怖くなってしまうかもしれません。そうなってしまうと本末転倒ですから、みなさんがインターンシップに参加する目的を見失わないで行動して欲しいと思っています。

「何故そのインターンシップに参加するのか」を常に自分に問いかけてみましょう。例えばそこが、自分がどうしても入社したい第一志望の企業であれば、高いパフォーマンスを出せるよう努力すればよいでしょう。しかし、志望業界や業種が定まっていない場合はそこまで気負わずに「自分を知る・企業を知る・業界を知る」ことを第一の目的とすればよいのです。様々な企業を知り見識を深め、多くの社会人の先輩達と会うだけでも実に様々な角度から「自分・企業・業界を知る」ことができるはずです。そういった経験の積み重ねが「良い就職活動」を行っていく糧となるのです。

ですから、インターンシップが選考に有利になるかどうかはあまり気にせず興味ある業界のインターンシップには積極的に参加することが一番です。