「自己分析」のいろは ~自己分析についてざっくり押さえたい!という方へ~

就職活動を開始すると必ずといっていいほど「自己分析」という言葉を耳にするかと思います。学校独自の就職ガイダンスやセミナー、新卒紹介会社などの担当者からも「自己分析しましょう」と言われたことがある人が大半なのではないでしょうか。今日は自分を知る作業である「自己分析」の効果的な方法について考えていこうと思います。

「自己分析」とは簡単に言えば「自分を探る」作業のこと。そしてこれは、就職活動の成功のカギを握る重要な作業となります。とはいえ、大半の就活生にとって、「自己分析」は就活の時期になって初めて、そして唐突に出現してきたワードでしょう。聞いたことがあるようでありながら、実際は何をしたらいいかわからない方も多いでしょう。ここでは目的から押さえていきましょう。

自己分析の目的2つ

自己分析の目的の一つは、「企業に“この学生はうちに合うか”を判断してもらうため、自分がどんな人間なのかを言語化し、わかりやすく提供できるようにすること」です。つまり、面接官に判断させるような材料を提供するための準備作業です。その判断がさせられないような「自己分析」は意味合いがかなり薄れてしまいます。
具体的には、自分の性格、志向、価値観、思考プロセス、習慣、行動などを思い返し、自分がどんな人間かを整理していきます。

また、目的のもう一つは、上記の裏返しでもあります。「判断する」ことが重要なのは、採用する企業側だけではなく就活生自分自身にも当てはまります。「さまざまな企業や業種から“この会社は自分に合う”という判断をできるように、自分の仕事・会社選びの判断軸を整理する」のが、自己分析のもうひとつの目的です。

平たく言うと、

「自分の個性や特徴、考えをわかりやすく相手に伝える」
「自分に合った会社または業種選びの軸を作る」

この二つが自己分析の大きな目的と言ってよいでしょう。

例えば就職活動をしていると「直感的にこの企業を気に入った」という場合もあります。その際も、きちんとした自己分析をした上での直感であるのか、そうでないかで入社後の結果が大きく変わる場合もあります。「こんなはずじゃなかった」と入社後に後悔することのないよう、本格的な就職活動の前にしっかりとした自己分析をしておくことをお勧めします。

簡単にできる自己分析の方法3選

1.モチベーション曲線

自己分析の方法の一つに「モチベーション曲線」を書き出すという方法があります。これは、過去の自分の経験や体験をふりかえり、モチベーションの上がり下がりを探っていく方法です。この方法は、横軸を時間、縦軸には年代別に起こった出来事のモチベーションの上がり下がりを描いていく大変簡単なものです。

「本当にこれで自己分析ができるの?」と思うかもしれませんが、過去に起こった出来事を紙に書き出し、その時の自分の感情を俯瞰して振り返ることで、自分をより深く理解することができますし、紙とペンさえあれば簡単にできるため大変おすすめな自己分析方法です。

この方法を試した方の多くは、意外なほど多くの発見があった、と語ります。
このモチベーション曲線では、自分の得意不得意、好き嫌い、などを網羅的に整理することができます。そして、自分自身の具体的なエピソードから、不得意だけれども乗り越えなければならない壁にどうやって臨んだのか、その時は誰かから協力を得たのか、自分はどんな思考を経てどういう行動をとったのか、等を改めて俯瞰できます。結果、就職するにあたって、自分はどんな環境であれば力を発揮できるのかを考えることができ、企業選びにおいてはそのような環境を持つ企業を選ぼう、ということを考えられるようになります。一見よさそうに見える「福利厚生がとても充実した企業を選ぶ」といった選び方でなく、自分がどんな人間か、どんな企業ならば合うのか、を明確に意識できるようになるでしょう。
また自分の過去を棚卸しするため、面接時の自己PRにも役立つでしょう。

2.他己分析

他己分析とは、他人から見た自分を分析することを指します。親しい友人や親、知人など複数の人間に同じ質問を投げかけ、他人からみた自分の特徴や個性を分析することです。

自己分析だけで自分を理解しようとすると、自分の短所に気づいていなかったり、本当に自己分析が正しいのか判断に迷ったりする場合があります。そこで、他己分析を行い「客観的に見た自分を知る」「自分の知らなかった長所短所を知る」「自己分析結果との乖離を知る」などして、より深く自分を理解することが必要となります。

他己分析をする場合は、具体的な質問項目を事前に準備することが大切です。「わたしってどんな人?」などの抽象的かつ曖昧な質問では、質問された相手も困るでしょうし、これでは「分析」はできません。例えば「長所短所」「第一印象」「あなたから見たわたしの集団での役割」「楽しそうにしている時は」「つまらなそうにしている時は」など、分析に役立ちそうな質問項目を予め準備しましょう。

自己分析で導いた長所が、他者からも長所として認識されていれば、自分の自信にもつながります。もし、自分の知らなかった長所や短所を指摘された場合はその事実をどのようにPRすればよいのか考えながら、就職活動を行うこともできます。企業の面接官は他者ですから、他己分析を行うことで「他人から見た自分」を意識しながら就職活動を進められることもできますね。

3.エニアグラム診断

エニアグラム診断は、人の生まれながらの資質を9つのタイプに分類する「性格分類学」です。9タイプそれぞれの思考や行動、強み苦手をいくつかの質問に回答していき、導き出してくれます。世界的大企業の研修などでも導入されており、自分の性格をより深く知るための診断として精度が高いものと言えるでしょう。自己分析、他己分析と併せてこういった「性格分類学」などの学問的な分析もどんどん利用してみましょう。

エニアグラム診断で自分がどのタイプか知りたい方は下記ですぐ診断することができます。

■コーチシャイニング エニアグラム診断:http://shining.main.jp/eniatest.html

実際の面接場では、面接官があなたの長所短所などを質問し、それが本当かどうか「なぜ?」「どうして?」繰り返すことで探っていきます。

例えば「私は粘り強い人間です」という長所を面接の場で口にした場合「それはどうして?」「具体的な事例は?」という質問が面接官から必ずかえってきます。そのときに「モチベーション分析」をしていれば「過去にこのようなことがあって、こういう事で粘り強さを発揮した」と答えることができるでしょう。また、他己分析で「粘り強さ」を長所として挙げてもらっていた場合などは「友人や親からも、(具体例を挙げ)粘り強さを感じると言われることが多いので、粘り強さが長所だと言えます」、などと面接官を納得させる自己PRができるはずです。

自己分析には限界がある

自己分析は「過去を振り返り自分自身を探る作業」とお伝えしてきましたが、実際は限界もあります。なぜなら、どうしても分析には「主観」が入ってしまい、「自分自身に見えているもの」場合によっては「見たいもの」で分析結果の解釈を変えられるからです。

また、就活がうまくいかないと自己分析を繰り返し、その時々の結果に振り回され「分析結果」のみに頼って就活を進めてしまうケースも散見されます。「分析結果」ありき、で就職活動するのではなく、時には直感や、企業研究・業界研究結果と併せて「自分の働きたい会社」「合う企業」を見つけるための一つの手段として「自己分析」というツールを使うということを、絶対に忘れないでください。これを忘れてしまうと、とたんに自己分析迷子になって就職活動につまずいてしまうことが多々あります。

就職活動前に自己分析は一生懸命やったけれども、企業研究や業界研究が全くできていなかったでは本末転倒ですよね。

まとめ

皆さんは、就職活動のゴールをどのように設定していますか?多数の企業から内定をもらうことでしょうか。とりあえず、どこでもいいから楽に入社できる会社と巡り合うこと、ということでは決してないと思います。大半の方は「入社後に、楽しく、面白く、やりがいを感じて働ける仕事をすること」をゴールとして就職活動するはずです。ですから、自分はどんな企業であれば楽しくやりがいを持って働けるのか自己分析や業界研究などを通し理解していく必要があるのです。

また、就職活動が思うようにいかなくても決して焦らない事です。(焦って自己分析を繰り返し心身ともに疲弊してしまう可能性もあります。)もし思うような結果が得られないときは、いったん一休みして自分の好きなことを思いっきり楽しみ、リフレッシュすることも大切ですよ。